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NOTES ジャルフィックのスタッフが日常での発見を綴ります!
2011 Sep
池田正晴

極まるへなちょこ。(2)


へなちょこ感:東京のオリジナリティ

サロンが12年にわたり、ブランドとして存在してきた理由をもう一度考えてみた。
 僕流に紐解くと、まず亜流を突き抜けたものを体現していることが挙げられる。東京に暮らし、東京でしかないものを探求する姿勢が12年の命脈である。酒井さん曰くの「自分の畑でとれる材料で何がつくれるのかを工夫する」という境地と、ヨーロッパ的な構築力や論理性を避けた結果、心と身体に軽やかに落ち着くデザインが具現化されている。そしてこれを自ら「へなちょこ感」とする。またその表現には、これまで影響を受けてきたモノやブランドに対する敬意がある。直球コンプレックスから解き放れた自由さが感じられるのだ。
 つまりヨーロッパ発の直球のトレンドの亜流に甘んじることなく、変化球によるハズしにデザインの動機を発見する。これが「へなちょこ」の核心である。決して「立派」を目指すのではなく、時代の変化を追い続け、それを表現する健気さがそこにはある。そしてこれを実現するのはアイデアの抽(ひき)出しの豊かさだ。またこの視座は日本を、そして東京の靴の未来を真面目に考えるバイヤーの〈頑張って〜!〉という共感を得ることにも繋がる。
 間違いないのは、メーカーの技術力や国や地域の特性を外した時に残るもの、つまり世界で共通する価値基準となるのは、時代の変化に対するセンスや目利き力。これが東京ブランドのアイデンティティのコアになる。
 決して愉快ではないことが続く世の中にあって、リセット&リスタートを決め込んだ酒井伸子さんのセンサー捉えたもの。東京ブランドを考える上で興味は尽きない。