伝統の再認識とリラックスした温かみ
上品でフェミニンなクラシック感やバッグならではのクラフトワーク、そして70年代を思わせるレトロなカジュアル感。今シーズンのバッグのクリエーションから感じるのは、伝統を再認識するという視点とリラックスした穏やかな温かみだ。そして、まるで春夏のようなペールカラーやさまざまなファー素材などが、ロマンティックなムードを醸し出している。先の春夏のハッピームードはその命脈を引き継ぎながらも落ちつきを見せ、より静的でシンプルな表現になっているようだ。
トレンドに大きな変化がない中でポイントとなるのが、素材のそのものの個性と多様な持ち方の提案。クリエーションのテーマ以上に、製品の使いやすさや製造における独自の技術について触れるデザイナーが多かったように感じる。またエコを切り口とした展開の拡大化も見て取れる。植物タンニンでなめした皮革はもちろんのこと、ファブリックに対してもオーガニックな素材や染料にこだわるなど、抗アレルギーな製品づくりと、そこから生まれる素材表現の独自性が際立つ。
● ポイント
1. マテリアル&カラー ・・・ソフトさと軽さ。ニュアンスカラーを表現する起毛素材の継続
2. サイズ&フォルム ・・・シンプルで立体的なフォルムをつくり出す複雑なパターン
3. ディテール&オーナメント ・・・立体感のある全面装飾と個性的な金具のデザインに注目