2010-11 Autumn & Winter BAG ポイント
MICAM / WHITE / CLOUDENINE NEOZONE TOUCHI!

1. マテリアル&カラー

ソフトさと軽さ。
ニュアンスカラーを表現する起毛素材の継続

ナッパやゴート、シープなど、ソフトさと軽さのある皮革が継続。また、ヌバックやスエード、床ベロアといった起毛素材も人気。特に、少しだけ銀を擦ったヌバックは多く提案されている。一方、特に目立ったのがさまざまなファー。ヘアードカウやラビット、アストラカン、フォックスなど、バリエーション豊かに展開される。また、クラシックムードが広がる中で、スネークやリザードといった爬虫類も、部分使いによって上品な贅沢さを醸し出している。デザインがシンプルへと向かう中で、素材自体の装飾の重要性が高まっており、型押しやプリントが復活傾向にある。さらに製品化後の染色により、独自の表情づくりを行うなど、素材へのデザイナーのアプローチが興味深い。また、皮革以外では、秋冬らしい温かみのあるニットや織物、光沢感のあるベルベットやサテンなどが登場。
カラーは、さまざまなトーンのグレー〜ベージュに注目。ベースカラーとしては、品のあるブラックとバリエーション豊かなブラウンがさらに追加される。アクセントカラーは、ブルー、ネイビー、ターコイズ、グリーン、ボルドー&パープル、マスタードなど。


▲薄くて軽いガーメントレザーとスカーフのコンビネーション(COLLECTION PRIVEE)


▲多様なプリントを施したラグジュアリーなファー(CAPAF)

 

2. アイテム&フォルム

シンプルで立体的なフォルムをつくり出す複雑なパターン

カジュアルなアイテムは大きめのサイズ、エレガントなアイテムは小さめのかわいらしいサイズでの提案が主流。サイズ感を強調するデザインバランスによって印象的な存在感がつくり出されている。また、マチ幅は広めで、全体に立体的かつ丸みのある穏やかなフォルムが継続している。
ソフトな素材傾向の中で、そのソフト感を生かした立体的なフォルムはシンプルな見た目ではあるが、パターンが複雑なものが多く、独特のデザインセンスを光らせている。 トレンドでもある〈クラシック〉を表現するフォルムとして効果的なのが、ボストンバッグやハンドバッグ、クラッチなど。特にハンドバッグは、アクセサリー的な小さいものが新鮮に映った。
全体的には実用性の高いアイテムが多く提案される。例えばブランドそれぞれの個性でこなされたデザイン的なトートやロングショルダーなど。さらに機能感を高めた2-3ウェイショルダーや、機能性をデザインの中に浸透させたような可変フォルムのアイデアもユニーク。


▲ぽってりとしたフォルムが何とも言えずかわいい(UT91)


▲クラシックなハンドバッグを小さなサイズ感でモダンに(L’AUTRE CHOSE)

 

3. ディテール&オーナメント

立体感のある全面装飾と個性的な金具のデザインに注目

全体的にシンプルな方向にあり、華やかなオーナメントやコントラストの強いカラーコンビネーションなどはほとんど見られない。一方で、バッグの全面に装飾を施すクラフト的な手法が印象的だ。小さなパーツを繋ぎ合わせたピーシング、フリル、アップリケ、あるいは刺繍や織り柄など。立体感のある表現が強調する手仕事の力がアクセサリー効果を放つ。また、フェミニン感を演出するオーナメントとしては、ギャザーやタック、リボン、コサージュ、さまざまなチャームなど。シンプルで実用的なバッグがこれらのオーナメントで彩られている。
一方、装飾的なメタルアクセサリーのバリエーションが広がっている。すでに定番化したスタッズやチェーンに加え、ジップによるトリミングも登場。それぞれがデザイン的にこなされ、個性を映し出す。
またクラシックなイメージの演出から口枠や口金も浮上。装飾的なヒネリのデザインや、ドクターズバッグに用いられるような収納力のある口枠がユニーク。


▲バッグをフリルで飾るようなイメージ(CATERINA LUCCHI)


▲足袋のコハゼを思わせる独特の金具の表情(ANDREA MABIANI)

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