THEME 1
THE RIGHT SIDE/魅力的な銀面
さまざまなエンボスが目立った今シーズンではあるが、スムースレザーにも新しく春夏らしいサーフェイスが登場している。ナチュラル感を生かすサーフェイス、あるいはトラッドやプレッピー感覚を意識した銀面が多く提案され新鮮に映る。長く継続された風化やヴィンテージサーフェイスは極端に減少し、クリーンな傾向への移行が確実になった。
▲カーフベースにラマのシボ、さらに銀面を擦って提案/EUROPELLI6▲しばらく入手不可能だったペッカリーの復活/ITALHIDE
THEME 2
THE REVERSE SIDE/起毛のクリエーション
ここ数シーズン、クロスタをベースとした表現は盛んであり実験的な試みも行なわれた。すでに毛足を潰して銀面のような見せる加工も定着している。今シーズンもリーズナブルなクロスタや高価な銀付きスエードに至るまで起毛素材は重要。その提案は銀面と同様にクリーンなイメージが表現されている。
▲芯通しのブルーが映えるクロスタ/SCIARADA
▲クロスタの裏面に加工を施して一枚仕立てに対応する提案/SCIARADA
THEME 3
REPTILES/爬虫類
エンボスをメインにバリエーション豊かな爬虫類が提案される中、最も目立つのがスネークだ。これは久しぶりの明解なトレンドである。その表現はプリミティブなものではなく、洗練されたナチュラル感を表現するものだ。クロコでダイルでは一部にワイルドな表現も見られるが、カラーで抑制を効かせている。エンボス技術の進化により、リアルな表現が可能になっている。
▲クロコダイルエンボスをヴィンテージ風のサーフェイスで提案/NUOVA OSBA
▲ブルーとオフホワイトを効かせたパイソンプリント+フを模した均等なメスカット/NEW ENTRY
THEME 4
OPEN WORK/透かし柄
隙間から風が通るような、あるいは光が差し込むような、春夏のシーズン性を背景とした開き感のあるレザーマテリアルの提案。フラワーモチーフによるフェミニンな表現と、ロープやメッシュ風のサーフェイスによるナチュラルな表現の大きく2タイプに分けられる。
▲薄いクロスタ+フェミニンなレース刺繍のようなパンチング+ラミナート/RINO LEPORATTI
▲植物タンニンなめし皮革に手着色。メステクニックのエンボスで切り目から芯通しの色を覗かせる/ECOPELL 2000
THEME 5
ALTERATION/表面変化
布帛を思わせる表面感や、角度によって表情が異なる加工が施されたものなど、ユニークなサーフェイスの提案。加工を重ねることでこれまでにない表情が生み出されている。しばらく収束傾向にあったエナメルも改めて新鮮な表情に映る。
▲布目のような細かなエンボスとバフィングにより花柄を表現したヌバックタイプ/RINO LEPORATTI
▲ゴートベース。エナメル処理後に縦皺を施す/BONAUDO