未来へと繋ぐ、モダンとエコの表現
穏やかなムードのエレガンス基調が続き、大きなベクトルの変化が期待されない現在のファッション。この流れにおいて、今シーズンのシューズ&バッグのひとつの課題となるのは、数シーズン前から浮上している“構築感や造形美”を要とするクリエーションのさらなる深度化だと言えよう。2008年春夏シーズンにはカラーや光沢感による情緒性が付加された同テーマを、2008-09年秋冬にはファッションとしてより洗練・調和させていくという方向性が重要となる。
そして、ある種のモダンイメージを創出するこのデザイン性を二次元で表現したような、グラフィカル感覚による装飾性をさらに波及させ、新たなセンスを発揮していかなくてはならない。モダンとは対極にあるクラフトワークや民族調のオーナメント、そしてコンサバティブでエレガントな装飾までにもこのフィルターをかけることによって、新規性を生み出していく。
一方、地球規模での深刻な課題として連日報じられている「エコ」に対する意識は、ファッションとしてのカラートレンドにも、そして素材開発の現場にも如実に表れている。いささか客観的過ぎる情報的な側面が、その本来の意味合いとの違和感を感じさせた「ロハス」という言葉の段階を超え、具体性を備えることによってベクトルが本質へと向かっていることを、この「エコ」という言葉が表現しているように感じる。デザイナー個々人も同テーマに対し、リサイクルといった切り口を超えてさまざまなアプローチを行い始めている。ロングスパンの大きなテーマとして捉え、シューズやバッグという道具性の強いアイテムからのトライアルも行わなくてはならないだろう。
今回のトレンドは以上のような視点の中で、それぞれのテーマに2つのシーンを設定することで奥行きと多面性をつくり出している。