2010 Mar.
池田正晴
際を越えていく自由さ。
“TOKYO - MIX”の深度化を読む
価格と感性のバランス感から、あるいはクリエーションのリアリティから、MADE in JAPANやJAPAN BRANDに注目が集まっている。翻って、果たして“日本のオリジナリティ”はモノづくりの精緻さやクリエイティビティだけだろうかと考えてみた。商品から少し距離を置いて、商品を取り巻く状況に目を向けてみる。例えば、新しい着こなしを触発したり、ファッションに対する意識を変えてしまうようなショップの編集力にも、他の都市にはない独自性を育む土壌があるのではないのか。そしてそこには日本のファッションの“自由度の高い自主選択性”という特性が発揮されているのではないだろうか。改めてショップの編集力に注目したい。
● 自由→自主選択こそがオリジナル
日本のファッションは、カテゴリーやブランドを超えた自由な組み合わせ、つまり “自主選択性”に優れている。特にストリートファッションにはこれが顕著であり、世界のクリエイターにも評価される要素のひとつである。独自の自己表現のメカニズムとも言えるこの特性は、トレンドに対する以下のふたつの側面をつくりだしている。
1. 社会的な縛りがないという身軽さゆえの、表層的な変化への優れた対応力:シーズントレンド
2. ライフスタイルにおける新しい価値観のパラダイムを描き出す深層の変化:マクロトレンド
トレンドがリアルクローズに向かい、ファッションの主体性が個人へと深度化する中にあって、より個人のライフスタイルや理念が反映された新たな選択性が顕在化するのではないだろうか?そんな考えが頭をよぎる。自由さ故に時代の根幹のうねりを捉えた、先進的な美意識や新たなファッションのパラダイムに次の消費の期待がかかるのである。
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